おうち英語

デジタル端末の本をおうち英語で読む際の3つのポイント

おうちで手軽に英語の本が読めるアプリやソフトは便利ですね。たくさんの本やお楽しみコンテンツにアクセスできるデジタル端末は、今やおうち英語に欠かせないツールです。

くぬぎちゃん

デジタル端末で英語本を読ませる時にスクリーンタイム以外に注意すべきことはあるのでしょうか?

どんぐりばぁば

デジタル端末の本を与える前に知っておくべきポイントが3つありますよ。

目次

デジタル端末の普及が子どもの読書を変化させ学習をアップ

Bus, A. G., Takacs, Z. K., & Kegel, C. A. T. (2015). Affordances and limitations of electronic storybooks for young children’s emergent literacy. Developmental Review, 35, 79–97. https://doi.org/10.1016/j.dr.2014.12.004

Tare, M., Chiong, C., Ganea, P., & DeLoache, J. (2010). Less is more: How manipulative features affect children’s learning from picture books. Journal of Applied Developmental Psychology, 31(5), 395–400. https://doi.org/10.1016/j.appdev.2010.06.005

今回ご紹介するのは、Bus先生とそのお仲間が2015年に書いた論文とTare先生のグループが2010年に出された論文です。

2011年から1年間でデジタル市場がは2.7倍も拡大して、小さな子どもが電子機器でお話を読む機会が増えたことにBus先生たちは注目しています(Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.80)。

子どもたちは、デジタル端末を通じてさまざまな刺激を受けながら読書することで、学習した結果や効果を保ちやすくなりました。

子どもの頭の中の別々のチャンネルで処理される「目で見ること」と「耳で聴くこと」が同時に利用されることによって、学習と保持に効果的に作用しているそうです (Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.83)。

アニメーションやバックグランドミュージック、小鳥のさえずりや車のエンジン音などの効果音の助けがあると、知らない単語や物語の意味を子どもたちが理解しやすくなって、その内容を定着させることにつながると分析されています。

デジタル端末の普及が子どもたちの学習を後押ししているのですね。

子どもがデジタル端末を使う時の問題点:認知的負荷が掛かりすぎ

一方、デジタル端末による弊害も注目されるようになりました。

物語の内容やイラストとズレた派手なアニメーション効果で、子どもたちは本のどこに注目すべきかわからなくなってしまうこともあります (Tare, Choing, Ganea and DeLoache, 2010, p.396)。アプリによっては音量の調整が難しくて、大きな音や不必要な効果音で子どもたちの気が散ってしまうのですね。

デジタル端末から発信される情報と、画面上に表示されている文章やイラストとの整合性が欠けていることも多いとBus先生たちは懸念されています(Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.86)。

デジタル端末による不必要で過剰な情報が、子どもたちに認知的な負荷を与えてしまって情報の処理能力や速度を落として物語の意味の理解度が下がってしまうようです (Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.87)。

「子どもたちがデジタル端末で物語を見聞きしても、すぐに言語や読み書きの能力が身につくわけではない」(Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.94)。というBus先生グループのお言葉が胸にささりますね。せっかく高いデジタル端末を買ったのに効果が上がらないとはがっかりです。

保護者におすすめ:デジタル端末の本であっても、子どもと共に読み質問する

子どもと共に読む

Bus先生グループが子どもの効果的なデジタル端末使用のために提案されているのが「周囲の大人が関わって子どもと一緒に読み進める」ことです。

デジタル端末を親子で一緒に読むことはなかなか難しいのですが、Bus先生たちは「共に読み進める」姿勢こそが大事だと強調しています (Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.93)。

同じ点をTare先生のグループも主張されています。「共に読み進める時、周囲の大人は抽象的な情報も付け加える」ことが効果的な学習につながると指摘しています。

牛の絵に「モーモーさん、草をたべるの好きよ」と説明する大人の例を引いて、大人が絵を描写することもTare先生グループは勧めていました(Tare, Choing, Ganea and DeLoache, 2010, p.399)

デジタル端末でも紙の絵本のように大人と子どもが絵を見ながら読み進めることが大事なのですね。

子どもに質問する

絵の描写に加えて、大人が積極的に質問することも重要視されています。

子どもが大人からの問いかけに応えて自分から意欲的に本の内容を言葉にしていくことが、将来の識字能力を高めるのだそうです(Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.93)。文章の内容を理解して複雑な文法や語彙を身につける基礎的なリテラシー能力の獲得「共に読み進める」ことがあってこそというのがBus先生たちグループの主張です (Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.94)。

その基礎力を子どもたちが得ることができれば、その後の読解力がつちかわれるのを助け、ひいては良い学業成績にもつながると締めくくっています。

子どもへの質問のコツ:ORTなど質問リストが載っている本を選ぶ

でも、子どもたちに読んでいる本の内容を質問するのは、難しいですよね。

くぬぎちゃん

何を質問したらいいのでしょう

どんぐりばぁば

自分で考えるは大変ですよねぇ

質問が思いつかないときは、質問リストがついている本を選んでみてはいかがでしょう。Oxford Reading TreeやRaz Kidsの本には、デジタル本の前後に「このような質問をしてみましょう」と例文が載っている場合もあります

子どもが質問に答えられなかったらヒントを出す

くぬぎちゃん

もし子どもの答えが間違っていたらどうしましょう。

どんぐりばぁば

ヒントを少しずつ出して子どもを正解に導くのがいいそうです。

間違いが続いてもヒントを出して子どもを正解に導くよう、周囲の大人が工夫しましょうと提案もされています(Bus, Takacs and Kegel, 2015, p.93) 。

まとめ

デジタル端末が普及しても、周囲の大人とのやりとりが大事という論文でした。

  • デジタル端末の良い点:動画や音声の助けで知らない単語や物語の意味を子どもは理解しやすくなる
  • デジタル端末の問題点:不必要で過剰な情報が子どもに認知的な負荷を与えてしまう
  • デジタル端末で本を読む時のおすすめ:周囲の大人が子どもと共に読み質問することが大事

「共に読む (co-reading)」姿勢こそが、紙の本を子どもと一緒に読む場面と同じく重要だそうです。デジタル時代、大人の力量が試されますね。デジタル機器が子どもとの生活に入り込むことは、止めようもありません。

デジタル端末の良い面を活かして、なんとか子どもたちと「共に読んで」まいりましょう。

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