【パラソーシャル関係】デジタル機器を使った子どもの学習効果アップ

女の子とPC

デジタル端末をおうち英語で使う時、特定のキャラクターにぞっこんのお子さまに少し心配になるときがあるかもしれません。

くぬぎちゃん

うちの子はパウ・パトロールのマーシャルが大好きなんですが、好きすぎてほかの動画は見向きもしなくて・・・

どんぐりばぁば

好きなキャラクターに心をうばわれるのは、発達に欠かせない要素なのだそうですよ。

目次

コロナ禍、注目されるデジタル上の人物とのパラソーシャル関係

コロナ禍、ソーシャルディスタンスを保つために家に引きこもる状態が続いていました。生身の人間と会えない期間が長引くにつれて、架空のキャラクターやソーシャルメディアに露出する人物に心を寄せる「パラソーシャル関係(パラソーシャル・リレーションシップ)」が注目されるようになりました。

Bond, B. J. (2021). Social and parasocial relationships during COVID-19 social distancing. Journal of Social and Personal Relationships, 38(8), 2308–2329. https://doi.org/10.1177/02654075211019129

Bond先生によると、メディア上のお気に入りの人物や架空のキャラクターがコロナ禍、家に引きこもっている人にとってより重要な意味を持つことが明らかになりました (Bond, 2021, p.2308)。

例えば、会ったこともない有名インフルエンサーに友情を感じることをパラソーシャル関係(パラソーシャル・リレーションシップ)と説明しています。一方、インフルエンサー側も画面をまっすぐ見て視聴者に話しかけることで好感度を上げています。

実は、デジタル上のキャラクターとのパラソーシャル関係(パラソーシャル・リレーションシップ)が子どもの教育に有効で発達に欠かせないことも分かってきています。

子どもとキャラクターとのパラソーシャル関係とは

Brunick, K. L., Putnam, M. M., McGarry, L. E., Richards, M. N., & Calvert, S. L. (2016). Children’s future parasocial relationships with media characters: The age of intelligent characters. Journal of Children and Media, 10(2), 181–190. https://doi.org/10.1080/17482798.2015.1127839

Howard Gola, A. A., Richards, M. N., Lauricella, A. R., & Calvert, S. L. (2013). Building meaningful parasocial relationships between toddlers and media characters to teach early mathematical skills. Media Psychology, 16(4), 390–411. https://doi.org/10.1080/15213269.2013.783774

今回ご紹介するのは、Brunick先生グループが2016年に書いた論文とHoward Gola 先生とお仲間が2013年に出された論文です。

子どもが好きなキャラクターの手助けが学習に効果的

子どもの教育アプリの良し悪しを判断する4つ目のポイントでもご紹介した「デジタル上のキャラクターと子どもが心を通わせる」ことがパラソーシャル関係ですが、子どもの教育にこの関係が有効であると両方の論文が指摘しています。

具体的には、算数のスキルアップに関して、1歳9か月の子どもたちにキャラクターを題材にしたビデオを見せて、その後キャラクターぬいぐるみで3か月間遊んだ子とそうでない子では、キャラクターと遊んで慣れ親しんだ方のグループが、そのキャラクターが教える基礎的な算数スキルをより理解したとしています(Gola, Richards, Lauricella and Calvert (2013) , p.390)。言い換えれば、キャラクターが子どもにとって強力な教育ツールになるのだそうです。

子どもの学習を後押しするキャラクターの3つの特徴

では、どのようなキャラクターとのパラソーシャル関係が子どもの教育に有効なのでしょうか。

Brunik 先生のグループは、子どもにより好ましいキャラクターの特徴として、以下の3点に着目しています(Brunik et al. 2018, p.183-186)。

  • 子どもが愛着を抱く外見のキャラクター
  • 人間のように反応し生活リズムがあるキャラクター
  • デジタル上の出来事を実社会にも反映できるようなリアリズム性をもつキャラクター

最初のポイントの「子どもがキャラクターに愛着を抱く」については、アンドロイドのようなロボットを3歳児は怖がるので、目が大きくデフォルメされた可愛いキャラクターに安心して癒されるとされています。

2番目のポイントの「擬人化されたキャラクター」については、乳幼児であっても他人の顔の表情に反応することから、キャラクターとの感情的なやりとりが求めまれています。同時に人間のように食事をしたりトイレに行ったり寝たりするより人間的な行動が幼児の心をとらえるとしています。

最後の点は、子どもが現実と空想の世界を混同しがちな危険性を踏まえた上で、より現実世界に応用しやすい設定をキャラクターに設ける必要を指摘しています。例えば、キャラクターがペットを飼っていて子どももそれを愛でるなど、キャラクターと子どもが共同でかかわることを良しとしています。

子どもが愛着をいだけるような可愛く人間ぽいキャラクターが好ましいようですね。

親は「適切な言葉掛け」をしつつ子どものパラソーシャル関係をサポート

子どものより良いパラソーシャル関係には、保護者の方の関わりも重要になっています。子どもと一緒にキャラクターと遊んだり楽しんだりすることはもちろん、学習への足がかかりとなる適切な質問や言葉掛け忘れないようにと説明しています(Brunik et al. 2018, p.190)。

そうして、子どもとキャラクターとのパラソーシャルな関係はある日突然終わることも示唆しています。「もうこのキャラクターは赤ちゃん向けだから」と子どもがエルモのぬいぐるみを放り投げたら、たいていの場合「卒業の日」は新しい年齢相応のキャラクターとの新しいパラソーシャル関係が構築される日でもあるそうです(Brunik et al. 2018, p.189)。子どもは好きなキャラクターを少しずつ変えながら成長していくのですね。

まとめ

子どもとデジタル上のキャラクターとの「パラソーシャル関係」が子どもの年齢相応の発達にポジティブに作用することが分かっています。

しかし、子どもがデジタル機器を扱う時に放置せず、保護者の方が積極的関わっていくことも子どもの教育に必要なのだそうです。

おうち英語でデジタル機器を子どもが使っている時、ついつい子どもに一人で作業させがちですが、周りの大人がキャラクターに言及するなどうまく声かけしたいものですね。

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